今年読んだ漫画についてダラダラレビューする。 その2

では、早速その2に行きます。

その2からきた人はその1もよろしければどうぞ。

pluginbaby.hatenadiary.jp

 

よふかしのうた

https://m.media-amazon.com/images/I/51+nyeGN8dL.jpg

評価:★★★★☆

話題になっていたので安易に手を出してみたら見事にハマりました。今となっては珍しくもなんともない吸血鬼と人間の話で、日々を退屈に感じていた主人公・夜守コウが深夜にぶらついてると吸血鬼のナズナちゃんと出会うところから物語は展開していきます。ただ今までになかったポイントとしては、吸血鬼が眷属を増やすにはどうしたら良いかとか、吸血鬼も意外と人間に紛れて暮らしてたりとか、この辺りの描写は目を引くところだと思います。何よりコトヤマ先生の描く女の子がどストライクでして、いちいち可愛いです。ナズナちゃんは本作のヒロインでもちろん可愛いのだけど、以降も吸血鬼たちが続々と登場するので本当にもうありがとうございますとしか言えないです。肝心の物語は今のところあまり大きな動きはなく、ラブコメっぽい感じで進んで行ってるのだけど最新刊で若干動きがあり、ちょっとシリアスな要素も出てきていてこれからどう展開していくのかが見どころです。 

キングダム

[原泰久]のキングダム 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

評価:★★★★☆

言わずと知れたメジャータイトル。実写映画にもなっていますし、続編も決定したのかな?とにかく人気ですね。絵がもうちょっとキャッチーで可愛くて子どもにも受ける感じだったら鬼滅の刃のようになっていたのでは?とすら思います。連載当初、友達に三國志の漫画だよって勧められて読んで見たら、いやこれ春秋戦国時代やんけってなった記憶があります。まあ、こまけえこたあいいんだよってやつでしょうか。でも三國志といえばやはり天地を喰らう世代なので、劉備曹操孫堅ですよね………漫画が優れているのか、この春秋戦国時代末期が歴史として非常に面白かったのかはさておき、奴隷から一歩ずつ着実に出世をしていく信は見ていて気持ちが良いです。数多の戦争を経て乱世を平定していく王の物語なのですが、戦争の恐ろしさもなんとか表現しようとはしているのだけど、画力の問題なのか、あまりその辺りはシリアスに伝わってこない。実際に起こったことをベースに描いているはずなのになぜかファンタジー要素が強く、特に最新刊のあたりなんかはその辺りのファンタジー描写がすごくて微妙になってきた。このままいくとヤバイ? 

ワンピース

[尾田栄一郎]のONE PIECE モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

評価:★★★☆☆

こちらも言わずと知れたメジャータイトル。既刊97巻という長寿漫画です。確かワンピースが連載を始めた頃ってジャンプのビッグタイトルたちがこぞって終わっちゃって、集英社ももうあとがねえ!って感じだったんじゃなかったかしら。うろ覚えなので適当なこと言ってたらすまん。最初は絵が下手だとかなんとかいろいろ言われていたけど気づけば看板タイトルになっていて、アラバスタ、空島あたりは本当に面白くて、初めてマンガで泣いて、天才っているんだなあと思いました。ただ、だんだん冗長になってきているのはやっぱり否めず、大体どの物語もワンパターンで、絶体絶命の危機から起死回生の一手を放つ、もはやアンパンマンのようなフレームワークを物凄くダラダラやっている感は否めません。パワーバランスもインフレが進んでいてもうよくわかりません。自分の周りもどんどん脱落して行ってます。私は97巻まで読んでいますが、このまま続いたら本当に尻すぼみなんじゃなかろうかと心配になったりもします。別に一気に走り抜けて終わらせてくれ!とは言わないけど、もう少し何か仕掛けがあったほうがいいのかなあとは思います。まあ、それが最新刊あたりの伏線回収なのかもしれないけど。

血の轍

[押見修造]の血の轍(1) (ビッグコミックス)

評価:★★★★☆

問題作です。「毒親」という言葉は聞いたことあるかもしれませんが、「過干渉」の毒親とその中学生の息子・静一の話です。この1巻の表紙がまさに、です。この漫画の生々しいところは、なぜ「毒親」が生まれてしまうのかというところまでかなり細かく、リアルに描いているところ。最初から毒親だった人なんかいないんです。もちろん当人にも問題はあるものの、周囲の人間たちとの関わり合いにおけるほんの小さな諍いが積み重なって精神を壊してしまう。そんな描写がものすごくリアルでした。読後感最悪です。人間のドロドロとした思考を漫画として描写することに関しては押見先生の右に出るものはいないんじゃないかってぐらい上手。引き込まれます。そして相変わらず出てくる女の子が可愛い。果たして静一はこの母親と自分の思春期とどう向き合っていくのか、既刊の単行本でもまだまだ進んでおらず、今後も長く続きそうなので気になった方はぜひ。

おかえりアリス

[押見修造]のおかえりアリス(1) (週刊少年マガジンコミックス)

評価:★★★★☆

血の轍につづき押見作品。今回はDiversityに切り込んでいく。感想書くとネタバレになってしまう気しかしないのでとにかく読んで欲しい作品です。先日1巻が出たばかり。高校生の日常系の漫画ですが、相変わらず心理描写と学生を描くのが上手です。押見先生は真っ当な方向に昇華したとんでもない変態なんじゃないかなって思う。「ぼくは麻理のなか」なんかもうね…いやこちらも相当おすすめなのですが。押見先生の作品は全部好きです。

水は海に向かって流れる 

[田島列島]の水は海に向かって流れる(1) (週刊少年マガジンコミックス)

評価:★★★☆☆

珍しくジャケ買いした作品。失礼ながら作者の田島列島先生のことは存じ上げていませんでしたが、優しいタッチが印象的な素敵な漫画家だと思いました。タッチは優しいのに扱っているテーマはキツいのがこの作品の魅力。表紙の下の少年・直達がひょんなことから伯父の家に居候することになるんだけど、その時に上の女性・榊さんが迎えにきて、実は榊さんも同居人で他にも同居してる人がいて……そんな奇妙な生活から思いもよらぬ因縁が見つかる、、そんな話です。星3つなのは、心理描写において押見先生をベースに考えてしまうとやっぱり同じテイストの作品って霞んじゃうんだよなあというところからです。決して面白くないわけではありません。

タイムパラドクスゴーストライター

[市真ケンジ, 伊達恒大]のタイムパラドクスゴーストライター 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

評価:★★★☆☆

「この漫画はモラルに反している」という、マンガに対して倫理観を否定するような評を見つけて興味を持ちました。実際読んでみると、ただの少年漫画なんですよね。電子レンジから未来のジャンプが送られてきて、それを自分で描いて出版社に持ち込んで大ヒットっていう、ファンタジーです。ファンタジーなので、倫理がどうとかはズレてるなあとしか思えないし、いつから少年漫画の設定で倫理を気にしなくちゃいけなくなったんだと戦慄してしまいました。突飛な設定が生かしきれずに終わってしまっただけです。絵もコマ割りも上手。編集とのやりとりとかはバクマンを思い出したけど、その辺りはDetailを省いてしまったからなのか、当然バクマンの方がリアルだった。次回作に期待してます。

ワンダンス

[珈琲]のワンダンス(1) (アフタヌーンコミックス)

評価:★★★★☆

タイトルの通り題材はダンス。ダンスは漫画にするのが難しいと言われているけど、この作者はダンスにおける躍動感と「音」の表現が見事で、漫画から音が聞こえてくるかのような描写になっています。素晴らしい。吃音症のカボが高校で湾田さんと出会いだんだんダンスにのめり込んでいく青春もの。吃音の感じも結構リアルに描かれてはいるんだけど、こんなにうまくいくかぁ?と思ってしまう部分もあり、ちょっと都合が良すぎる感じがしなくもない。あと音の表現は見事なんだけど、アーティストと曲名を載せちゃうことで、知ってる人にはよりイメージしやすいんだけど知らない人が置いてきぼりになっちゃうところはある。ケンドリックラマーのハンブルとか、最高なんだけどね。

ザ・ファブル

[南勝久]のザ・ファブル(1) (ヤングマガジンコミックス)

評価:★★★★☆

やたら広告でプッシュされてきて、うざいなーって思ってたんだけどある日なんとなく読んでみたらめちゃめちゃ面白かった。表紙からゴリゴリのハードボイルドな感じなのかなと思っちゃいますが意外とゆるい感じで展開するところも多いです。とはいえ殺し屋の話なので、そういうのが苦手な方はやめといた方がいいですね。ファブル(この表紙の主人公)はその組織の中でもめちゃくちゃ優れた人間なのですが、いったん殺し屋を休んで一般人として生活しろ、とボスに言い渡されるところから始まります。結局、一般人になってもトラブルはどんどん舞い込んできて…という話なのですが、ファブルがあまりに浮世離れしていて面白すぎます。そして強すぎ。22巻で一応完結しているので(いつか2部があるらしい)さくっと全部読みたい人にもおすすめです。

東京卍リベンジャーズ

[和久井健]の東京卍リベンジャーズ(1) (週刊少年マガジンコミックス)

評価:★★★★☆

新宿スワン」でその名を轟かせた和久井先生の作品です。ベースは新宿スワンと変わらず、チーム・不良・抗争って感じなんですが、今作品はそこに加えてタイムリープという要素が入ります。一見混じりそうにないタイムリープですがこれがなんと意外なことにハマっていて、ちゃんとタイムリープものが描けている!と感動しました。タイムリープってちゃんと時系列とかいろいろ細かいところをきっちり合わせないとどんどんボロが出て行って興醒めなので、その辺りは素晴らしいと思います。本編はというと、新宿スワンの焼き増し感は否めず、ヘタレの主人公・タケミチがタイムリープをきっかけに人生を変える、そんな中で不良グループと争ったり、仲良くなったり、裏切られたり、というそんな話です。これだけだと偏差値低めな内容ですが、まあ、バイアスかもしれないけど男って大体こういう話好きじゃないですか?大人になった今でもフフッてなりながら読んじゃう。あとなんか新宿スワンの頃に比べて画力が上がっていて、女の子が可愛いです。なんか他の漫画のレビューでも結構女の子が可愛いって書いた気がするけど、売れる漫画の条件なのかもしれないですね。いかに可愛い女の子が描けるか。

あげくの果てのカノン

[米代恭]のあげくの果てのカノン(1) (ビッグコミックス)

評価:★★★☆☆

なんとなくタイトルに惹かれて購入。内容は「ゼリー」と呼ばれる侵略者から逃げ惑う日常のなかで主人公のかのんが、ゼリーに対する特攻部隊のエリート・境先輩と不倫してしまうという情報量多めなSF×不倫もの。不倫ものと知らずに読んでしまってちょっとゲンナリはしたものの、世界観は嫌いじゃなかった。SF好きですね。しかもこのゼリー、攻撃を受けて「修繕」という治療を行うと人格が変わってしまうという副作用があり、境先輩はどんどん変わっていきます。ただ、それが真実なのか?人って変わる生き物でしょ?というところがテーマかなと思います。